部下の退職は突然じゃない。上司が今からできる5つの準備

転職・就職

先日、ある部下から「少しお話ししたいことがありまして…」と声をかけられた。

こういうときって、だいたいピンとくる。
「…ああ、たぶん、退職の話だな」と。
管理職には避けられない、あの声掛け・・・。


引き留めるか、送り出すか

部下が辞めたいと言ってきたとき、上司の選択肢は大きく2つ。

  • 引き留める
  • 背中を押す

この2つの間で悩むのが普通だと思う。でも僕は、**原則として「背中を押す派」**です。

なぜか?


僕自身が転職を繰り返してきたから

僕はこれまでに5回の転職をしてきました。
どれも、その時点では真剣に悩み抜いた末の決断です。

もちろん「逃げ転職」になってしまったケースもあるし、もっと踏ん張ってもよかったかもな…と思うこともある。
でも、ひとつだけ確実に言えるのは、外からじゃ分からない“本人の限界”ってあるということ。

だから、部下が辞めると聞いたとき、「残ってほしいけど、彼(彼女)が本気で悩んだなら、止める権利はない」と思うようにしています。
また、会社や上司はどこまでいっても自分の人生に責任をもってくれません。自分を採用した人が、入社後さっさと辞めていく、なんてよくある話です(笑)


退職は、言ってきた時点で95%決まっている

これは体感ですが、上司に退職を伝えにくる段階で、その決意はほぼ確定しています

相談のように見えても、実際は「決意表明」の場。

  • ここであれこれ言っても揺らぐことは少ない
  • 仮に引き止めて一時的にとどまったとしても、そう遠くない未来にまた退職する可能性が高い

だからこそ僕は、前向きなコメントを心がけるようにしています。

「これまで本当によく頑張ってくれた。ありがとう」
「新しい環境でも、あなたらしくやっていけると思うよ」

恨み節やプレッシャーのような言葉は言わない。
それが、上司としての矜持だと思っています。


「送り出す」=「何もしない」ではない

もちろん、ただ「了解」で済ませるわけではありません。

僕が必ずするのは、以下のような対話です。

  • 「ここに残るとしたら、どういう条件だったらアリだと思う?」
  • 「今回の決断、後悔しないかどうかは、どうやって判断した?」
  • 「新しい環境に行くとして、不安に思ってることってある?」

“本人の本音”にもう一歩だけ踏み込む。
それが、上司としてできる最大限のコミュニケーションだと思っています。


普段から「万が一」に備えるのもマネジメント

そして正直な話、**退職の報を聞いた瞬間に頭をよぎるのは“業務への影響”**です。

  • 彼の担当していたプロジェクト、誰が引き継ぐ?
  • あの取引先との関係、代わりに誰がいける?
  • そもそも人、足りる…?

でも実際、補充はすぐには難しい。特に即戦力なんてなおさら。
だからこそ、退職リスクは“想定外”じゃなく“織り込み済み”で考えておく必要があります。

僕が意識しているのは以下の3つ:

  1. 属人化を防ぐために、普段から業務を見える化しておく。マニュアル化しておく。
  2. 優先順位を常に意識し、「いざとなったら捨てる業務」を把握しておく
  3. 1on1などで、部下の業務内容・負荷・志向は定期的にキャッチしておく

退職は“突然”に見えて、実は兆候があったりもする。
だから、上司としての感度が問われるわけです。


残されたメンバーへの説明も大事な仕事

もうひとつ大切なのが、周囲のチームへの説明です。

退職があると、社内は少なからずざわつきます。

だからこそ、僕はこう伝えるようにしています。

「○○さんは、自分のキャリアを真剣に考えて、新しい道を選んだ。僕たちも応援しよう」

中途半端に隠したり、説明を省略すると、組織内に変なノイズが生まれます。
むしろ正直に、前向きに伝えた方がチームの信頼感も保たれます。


辞める側の気持ちも、分かるからこそ寄り添える

たぶん僕がこう考えるのは、自分自身が「辞める側」を何度も経験してきたからです。

辞めるって、楽な決断じゃない。

  • 上司に言い出すタイミングをずっと悩む
  • 引き留められたら揺らぐ
  • 最終出社日が近づくと、なんとも言えない気持ちになる

だからこそ、辞める人の気持ちには、なるべく寄り添いたいと思っています。


まとめ:「辞める時こそ、上司力が問われる」

部下の退職は、マネジメントにとってある意味“試される瞬間”です。

  • その人の気持ちに、どこまで向き合えるか
  • 冷静に、そして前向きに対応できるか
  • チームへの影響をどう最小限にとどめるか

すべてが理想通りにはいかない。でも、僕は毎回こう思うようにしています。

「辞める時こそ、その人にとって“いい上司だったな”と思ってもらえたら、それでいい。」

そんな背中の押し方を、これからもしていきたいです。

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