やまとなでしこと魔女の宅急便が父親の心に刺さる理由|泣ける名シーン2選

雑記

父親になって泣いた、たった2つのシーン

昔は、映画やドラマを観ても「親の気持ち」なんて目に入らなかった。
むしろ、主人公やヒロインに感情移入して、その物語を“自分の物語”として見ていた。

でも今は違う。
自分が父親になってから、全く同じ作品を観ても――見える世界がまったく変わった。

今回は、そんな「目線の変化」によって心を揺さぶられた2つの作品を紹介したい。


① 『やまとなでしこ』第9話|父の無償の愛と背中

Netflixで配信されていたのをきっかけに、久しぶりに観返した。
松嶋菜々子さん演じる桜子の恋愛模様に、かつてはドキドキしながら観ていたこのドラマ。

でも第9話。まったく別の角度から涙が出た。

父・勝さんが、桜子の結婚相手・東十条家に会いに来る。
格式ある名家に対して、勝さんは田舎の貧乏な漁師で、見た目も振る舞いも不釣り合い。
娘のために、“よそ行きの服”を着て、娘の指示に従い豪華客船の船長を装う。

会食はそつなく終了。勝は足早に東十条家を立ち去ろうとする。その時。

玄関で桜子に向かって、こう言う。

「お前はいつになっても、俺の娘だからな」

この一言。もう、胸がぎゅっと締めつけられた。
何があっても、どんなに離れても、「味方でいる」と伝える言葉。

それは誇りや自尊心じゃなく、ただ“無条件の愛”だけで構成されたセリフだった。


バス停での別れ

そして桜子が父を追いかけ、バス停にたどり着く。
バスが来て、父が乗り込もうとしたその時――
勝さんは振り返り、桜子に向かってこう言う。

「心配すんな。父ちゃんな、もう二度とお前の前に顔出したりしねーから。」
「父ちゃんのことなんか忘れて、あの大金持ちと結婚して、幸せになれ。」

そして最後に、やわらかい声でこう続ける。

「辛かったら、いつだって戻ってこい。」
「おめぇは強い子だからな。元気でな。じゃあな。」

それでも、バスのドアが閉まる直前――
桜子は声を振り絞るようにして、涙ながらに言う。

「父ちゃん、ごめん。嘘つかせて、ごめん…」

もう、涙腺崩壊だった。

叱るでもなく、責めるでもなく、
娘の幸せを願いながら、自分の寂しさも全部飲み込んで見送る――

それが、父親の背中なのだと思った。


② 『魔女の宅急便』|キキの旅立ち前の「高い高い」

もう1本はジブリの名作『魔女の宅急便』。
この映画も、昔は「キキの成長物語」として観ていた。
でも今観ると、最初の10分で泣ける。

13歳になったキキが、魔女として一人立ちする日。
母が旅支度に追われるなか、父に近づいて、こう言う。

「おとーさん!高い高いして!」

父・オキノはちょっと驚きつつ、優しくキキを抱き上げ、ぐるぐる回る。
そして、こうつぶやく。

「いつの間にこんなに大きくなっちゃったんだろう」

そのあと、ぎゅっとキキを抱きしめてこう言う。

「帰ってきてもいいんだよ」

もう、この“高い高い”と“抱擁”と“送り出し”の一連の流れが、あまりにもリアルで、優しくて、そして切ない。


どちらも「手放す愛」が描かれていた

やまとなでしこの勝さんも、魔女の宅急便のオキノさんも、
子どもを「手放す」瞬間を、全力で愛していた。

そして、笑って送り出して、
でも「帰ってきていいんだぞ」と伝える。

この無言の覚悟と、無償の愛。
父親って、こんなにも切ない役なんだと痛感した。


娘が大きくなる日が来たら

自分も娘と離れて暮らすことになる。

これからずっと、自分も

「お前はいつになっても俺の娘だからな」
「辛かったら、いつでも戻ってこい」
と、わだかまり無く言えるだろうか。

いや、言える父親になりたい。

この2つの作品は、そんな気持ちを思い出させてくれる、大切な“親目線の名作”だった。

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