はじめに
「転職は一度だけにすべき」「石の上にも三年」
そんな言葉に縛られていたのは、もう一世代前の話かもしれません。
今は、環境が合わなければ“動いてみる”ことが当たり前になりつつあります。
キャリアを柔軟に変えていける人の方が、むしろ長く働き続けられる時代です。
私自身も、これまでに5回の転職を経験してきました。
聞きようによっては「多すぎない?」と思われるかもしれません。実際、過去の自分が聞いてもそう思ったかもしれません。
でも今、あらためて感じるのは――
転職は「自分の意思で生きている」感覚を取り戻す手段だったということ。
そしていろいろあったからこそ、「良くも悪くも人生を楽しんでいる」と思える自分がいます。
もちろん、金銭面では必ずしも得だけをしてきたわけではありません。
それでも、納得して動いた結果としての今がある。それが何よりの収穫でした。
転職歴とその理由(時系列)
① 地方銀行 → 金融本部(法人営業→市場系)
在籍期間:約10年
新卒で入社し、法人営業からスタート。その後は金融商品の提案や市場業務にも携わるように。やりがいもあり、経験値も積める職場だった。
転職理由:キャリアが受け身すぎる現実
異動はすべて上司と人事部の判断。自分の希望や将来像はほぼ反映されず、「このままでいいのか?」という漠然とした不安が強まりました。
② 金融グループ内のコンサルティング部門
在籍期間:約10か月
よりスピード感のある環境を求めて、他の金融グループ内のコンサルティング会社へ。
上司との相性には苦労したものの、ロジカルシンキング・プレゼン・資料作成といったスキルはここで一気に磨かれました。
転職理由:上司ガチャ大外れ&過酷な労働環境
毎日終電か、それ以上。休日もお構いなし。
体力的にも精神的にも長く続けるのは厳しいと判断し、短期で見切りをつけることに。
③ 大手金融機関(法人提案業務)
在籍期間:約4年
働き方の安定を求めて再び金融業界へ。法人向けのソリューション部隊として各種提案を行いながら、部下2〜3人のチームも任されました。
転職理由:またもや組織都合の限界
安定した働き方はできていたものの、また「人事主導のキャリア設計」にジレンマを感じ始め、「もっと自分でキャリアを作りたい」という思いが再燃。
④ 事業会社(経営企画・IR)
在籍期間:約1年
初めての“事業会社”で、経営に近いポジションにチャレンジ。経営管理や対外発信の中枢に関わることができ、やりがいは大きかったです。
転職理由:サイコパス上司&壊れかけた組織
深夜・休日問わず無理難題を投げてくる上司に疲弊。
組織も次第に崩れていき、「このままでは自分が壊れる」と判断し退職。
⑤ 事業会社(企画職)
在籍期間:約5年
現場に近いポジションで事業と経営をつなぐ役割に。比較的自由度も高く、これまでで最も「自分らしく働けた」と感じています。
⑤の職場では、事業部門の計数管理や販促施策の設計、社内プロジェクトの企画運営など幅広く担当していました。
現場とも距離が近く、自分の提案がすぐ形になるスピード感に手応えを感じていました。
転職理由:将来に向けた違和感と天井感
仕事内容に大きな不満はなかったものの、給与や経営方針にズレを感じ始め、「このまま10年働くイメージが持てない」と感じて再び行動へ。
⑥ 現在:管理部門の統括補佐として
複数部門をまたぎながら、組織全体のガバナンスや仕組みづくりを推進。これまでの経験を活かしつつ、「納得感のある働き方」に一歩ずつ近づいています。
法務・人事・経理などのバックオフィスを束ねつつ、グループ会社との連携や規程整備にも関与。
ここまでの経験がすべてつながってきたような感覚もあり、「今が一番自分らしく働けている」と思える日々です。
まとめ:転職は“調整”であり、“逃げ”じゃない
5回の転職。
でも私は、それぞれに納得できる理由があり、そして必ず学びがあったと感じています。
失敗もあった。けれど、「ここでは無理だ」と思ったときに自分を守る行動を取れたこと、それ自体が一つの“強さ”だったと思います。
もしこの記事を読んでいるあなたが、今の職場に少しでも違和感や閉塞感を感じているなら――
一度、立ち止まって考えてみてもいいと思います。
私は、環境が変わるたびに「またゼロからか…」と落ち込んだこともありました。
でも今振り返ると、それぞれの経験がちゃんとつながり、今の働き方に結びついています。
転職に「正解」はありません。でも、「納得」はあります。
自分が自分の味方でいられる選択を、これからも続けていきたいと思っています。
▼次回予告:転職シリーズ②「初回転職と失敗」へ
第2回では、私が最初に転職したときの“甘さ”と“現実”について正直に振り返ってみます。
「転職ってこういう罠があるのか」と感じた経験談、お楽しみに。
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